主人公の名前は祐希(ゆうき)。
とある事情から親戚夫婦に引き取られ、その夫婦が営む
行き場のない母子を守る「のばらのいえ」で暮らします。
高校卒業を機にそこから逃げ出し、10年後
「のばらのいえ」に戻る決意をするところから
物語が始まります。
自分が置かれてしまった環境からどう進んでいくかを
考えさせられる作品でした。
この話に似たことは現実にも
あり得ることなんだろうなと感じます。
暴力や貧困など難しさを抱えてしまった母子が
安心して暮らせる場所が母子保護支援施設であるのに、
そこで暮らしたことがあるからという理由で
いつまでも他者から偏見のまなざしで見られてしまう悲しさ。
人生の不条理を感じたまま生きる辛さ。
終始重苦しい雰囲気で物語が進むのですが、
苦しい環境に置かれたときでも、
出来ないことばかりを数えずに
小さくても、出来ていることや、無意識にしてことに
目を向けることを進める主人公が希望の光に感じました。
作中には、性的被害の描写が出てきます。
辛いことを思い出す方もいらっしゃると思うので
読むときはお気を付けください。