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まず、主人公の少年ネロと犬のパトラッシュの、純粋で一途な絆に心を打たれました。貧しい暮らしながらも、お互いを支え合い、ネロが描く絵への夢と希望を捨てず、パトラッシュがそばにいてくれる、その優しさと信頼に、人間と動物の関係のあたたかさを改めて感じました。 
一方で、この作品は「環境の厳しさ」「社会の理不尽さ」「夢を追うことの残酷さ」を容赦なく描いており、読んでいて胸が締めつけられ、悲しみや苦しみを強く感じました。ネロの純粋さや希望が、あまりにも過酷な現実に押しつぶされていく、その切なさが読後もずっと心に残ります。 
また、ネロの「絵を描きたい」「名画を見たい」という夢が、貧困や身分差という壁によって阻まれる設定は、社会の不条理や格差について考えさせられるものでした。同時に、それでも諦めず希望を胸に抱き続けるネロの姿に、言葉にはできない尊さと儚さを感じました。
全体として、『フランダースの犬』は、ただの子どものための物語ではなく、「優しさと苦しみ」「夢と現実」「生きることの意味」を深く問いかける、心に残る重くも美しい作品だと思います。読んだあと、しばらく余韻が続くそんな物語でした。

















