読み進めるほど、華やかさよりも、そこに集まる人たちの疲れや孤独のほうが目に入ってきます。
特に、新田が父親と向き合わざるをえなくなるくだりは、事件そのものよりも胸に残りました。人生のある時点で、親という存在を一人の人間として見ざるをえなくなる瞬間の、どうしようもない気まずさや寂しさが、じわじわと滲んでいたように思います。
ホテルは仮面をかぶる場所のはずなのに、この作品ではむしろ、隠してきた感情や過去が、皮肉なほどあぶり出されていきます。誰もが自分を守るために嘘をつき、その嘘の中でなんとか生き延びようとしている感じがして、正しさよりも切実さのほうに心が引き寄せられました。
物語の根底には「罪とは何か」「償いとは何か」「正義とは何か」という問い掛けがあり、単なるミステリー以上に、人間の心理や社会の闇、人間関係の複雑さを浮き彫りにする構成に深みを感じました。 
加えて、緻密に張られた伏線と、ホテルの空気感、客室、ロビー、選考会場を舞台にした細やかな描写が、まるで現場を歩いているかのような臨場感を生み出しており、終始没入して読めました。
マスカレードシリーズ5作目 ミステリー文学賞の候補者が殺人事件の容疑者かもて話
作中に出てくるその作品が、面白そうで、読んで見たくなる
もう一個、事件がからんでくる
誰が誰なんだと騒いでる頃が一番ワクワクした

















