池袋ウエストゲートパーク外伝。キングとなる前、高校時代の誠とタカシの冒険の話。
IWGPの読者にはクールでなにがあっても動じないキングの印象が強いが、まだ可愛い頃のタカシのギャップにびっくり。誠とじゃれあって冗談を言うところなんて普通のバカっぽい(失礼)高校生で微笑ましい。
高校時代の誠は現在とほぼギャップがないが、この頃から国語の成績はよくコラムニストの片鱗を覗かせている。懐かしのドーベルマン山井もちょこっと友情出演していて嬉しい。
しかし矛盾点もある。タカシには伝説的な兄がいたという設定だが、Gボーイズの先代って無認可ガーデンをやってるシンジさんじゃなかったの?とか、そんな凄い兄がいたのにシリーズ中一回も名前がでないどころか存在を匂わされてもないのはいくらなんでも不自然じゃ……とか、あれタカシおじさんの所に身を寄せたって言ってたよね、連絡する親戚がいないってどういうこと?とか、突っ込みどころは多い。
けれどタカシの貴重な高校時代や人間臭い側面、誠とタカシの青臭い友情など見所も多く、アンダーグラウンドのジュブナイルな青春要素で中和されてる。オレオレ詐欺やチーム同士の抗争など、犯罪や暴力描写も多いが、不思議と読後感が爽やか。
人の死や肉親との生き別れなど重いエピソードを扱いながら、湿っぽくなりすぎないバランス感覚は絶妙。
スピンオフと割り切り、本編との細かな矛盾点に目を瞑って流せばタカシの成長や誠(及びその母親)との絆により説得力がでる佳作なので読んでおいて損はない。











