本書は、57歳で早期退職をした後、8年間ディズニーランドで清掃スタッフ(カストーディアルキャスト)として働いた著者の、ありのままの体験が綴られたエッセイです。
まえがきにもあるように、ビジネス書や感動本としてではない実体験ということなら興味があるな、と思って読んでみました。
実際にパークに出て清掃している時のエピソードや、裏側の人間関係のエピソード、
そしてキャストの働き方の仕組みやお金の話、組合費は取られ損だったという話まで、内容は多岐にわたっています。
ディズニーにそれほど詳しくない私でも、脚注も読んで理解をしながら読み進めることができました。
キャストにもゲストにも色々な人がいて、接客業の悲喜交々な様子がとてもよくわかります。
そして何より伝わってきたのは、著者の人柄の温かさです。
辛かったことや理不尽だと感じたことについても書かれているのですが、
それを読むこちらがそこまで不快な気持ちにならなかったのは、
著者がそういうことも含めてディズニーキャストの仕事を楽しんでいて、
かつディズニーが好きであるということ、人を見つめる視線の温かさなども感じ取れたからだと思います。
私が好きなのは、第4章の『暇そうな人』というバースデーシールのエピソード。
キャストがゲストからお祝いされる場面にほっこりしました。
ディズニー好きの方も、そうでもない方も、ディズニーの裏側に興味のある方なら楽しめるエッセイだと思います。
ぜひ一度、手に取ってみてはいかがでしょうか?