ありがとう
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母と娘、二人きりの家族の中で出来上がってしまった、歪んだ関係。
九年もの浪人生活を送り、ようやく自分の夢を見つけた娘のあかりに、母は助産師になれと頑なにこだわる。束縛、罵倒、価値観の押し付け...。三十歳を過ぎるまで、あかりがこのあまりにも窮屈な生活によく耐えられたものだと、むしろ感心してしまいます。
父親が家を出る時、あかりを連れていってくれたら、こんなことにはならなかったのではないか。父親だけが逃げたように見えてしまいます。
また、あかりが何度も助けを求めていたにもかかわらず、虐待を知っていたはずの国語教師も、もう少し力になってくれていたら、とも思いました。もちろん、他人だから踏み込めない部分もあったのでしょうが、その無力さが切ないです。












