ありがとう
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読み始めてすぐに「ここから先は一気読みコースだな」と観念させられるタイプの小説でした。山荘という逃げ場のない空間に、強盗と身内の思惑がぐちゃぐちゃに絡んでいく感じがずっと息苦しかったです。
特に、人質たちが脱出を試みては失敗し、そのたびに疑心暗鬼が濃くなっていく過程がえぐかったです。誰も信用できない状況なのに、表面上はなんとか取り繕おうとする空気が、タイトルの「仮面」というモチーフとぴったり重なっていました。
終盤の種明かしは、正直「やられた」と思う一方で、そこまでして守ろうとしたものは本当にそれだけの価値があったのか、と少し冷静にもなりました。巧妙などんでん返しの快感と、犯人に対するもやっとした感情が同居する読後感です。

















