『ヤクーバとライオン(1)勇気』ティエリー・デデュー作・柳田邦男訳は、少年ヤクーバと一頭のライオンの出会いを通して、「本当の勇気とは何か」を問いかける絵本です。物語は、成人の儀式としてライオンを倒す使命を与えられたヤクーバが、傷ついたライオンを前に戦うか助けるかの選択を迫られる場面を中心に展開します。読後は、力ではなく「思いやり」や「正しさ」を貫く心こそが真の勇気であることに気づかされ、子どもだけでなく大人の心にも深く響く寓話的な一冊でした。
「殺された側は報復のために相手を殺す。終わりのない報復の殺し合いが続いていく。その悪循環を断ち切るにはどうすればよいのか。日本の社会に目を向けると、いじめられた子が復讐の事件を起こす。虐待された子がやがて虐待する側にまわる。これも同じ悪循環だ。もうひとつの道ーー『殺さないことだ』という、ライオンの問いかけは重い。」--柳田邦男(巻末の解説・あとがきより)
アフリカの奥地にある小さな村。今日は、成長した少年たちが戦士になる、特別な日だ。ヤクーバたち少年は、ライオンとひとりで戦って、勇気を示さなければならない。
夜になって、ヤクーバはついにライオンに出会った。しかしライオンは傷ついていて、その目はこう語っていた。
「おまえには二つの道がある。わしを殺せば、りっぱな男になったと言われるだろう。もうひとつの道は、殺さないことだ。そうすれば、ほんとうに気高い心をもった人間になれる。だがそのときは、仲間はずれにされるだろう。どちらの道をえらぶか、それはおまえが考えることだ。」
ヤクーバは、ライオンを倒し、名誉ある戦士になるのか。それともーー
フランスの作家デデュー・ティエリーによる迫力のあるモノクロの絵が、重たいテーマとあいまって読み手にぐいぐいと迫る絵本。
卒業式などの節目の読み聞かせにも大人気の1冊です。
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