ありがとう
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復讐代行を請け負う成海の事務所に押しかけた美菜代。
「復讐するは我にあり」。
確かに手を汚して後悔するより、神に任せて別の道を探した方がいいのかもしれません。相手の不幸を願うよりも、自分の幸せに目を向けることこそが一番の癒やしになると頭ではそう理解していても、それが簡単にできないからこそ、大金をはたいてでも復讐屋に依頼するのだろうと感じました。特に、壮絶な過去を持つ成海がその考えに至った心の痛みを考えると、計り知れないものがあります。
依頼者たちが最終的に前を向いていく結末は、読んでいて救われる思いでした。シナリオライターの盗作の話は、読んでいて腹立たしい気持ちになりましたが、デビュー作から盗作をするような人は、決して長くは続かないだろうというのには納得です。それをネタにして、たくましく生きていくめぐみを心から応援したいと思いました。
そして何より、美菜代と成海のコンビがとても魅力的でした。様々な人生の闇を抱えた人々が登場する中で、二人の関係性が物語を支えているように感じます。