「その復讐、お預かりします」は、原田ひ香氏が2014年に発表した短編小説集です。
恋人に裏切られ、会社を辞めた美菜代は、セレブ専門の復讐屋に復讐を依頼しようとするも断られてしまいます。
そこで秘書として働きながら「復讐」の極意を学んでいく中で、様々な依頼人がやってきます。
婚約者が飼っているサルに負けた女、オーケストラのコンマスの座を奪われた女、遺産相続に巻き込まれた女など、各話で異なる依頼人達の復讐劇が繰り広げられます。
復讐屋の成海は「復讐するは我にあり」という信念を持ちながらも、依頼人自身が行動することで事態を収束させていきます。
各話の主人公は、過去の出来事や相手に囚われず、前向きに生きていく姿が描かれています。
この本は、読者に「復讐」というものを考えさせられる作品です。
「復讐」は、必ずしも相手に直接的な報復をすることだけを意味するのではなく、自分自身の過去と向き合い、未来に向かって生きていくこともまた「復讐」であると教えてくれます。
ユーモラスな語り口で、重くなりがちなテーマを軽やかに読ませる文章力も魅力です。
読後に心が温かくなるような、爽快感を感じられる作品です。