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『カントとヘーゲルの歴史哲学 歴史の中での自由』榎本庸男著は、カントとヘーゲルの歴史哲学を比較しながら、「自由」というテーマを軸に思想を丁寧に解説した一冊です。カントの道徳哲学的視点と、ヘーゲルの弁証法的歴史観を通じて、人間の自由と歴史の進展の関係を考察しています。抽象的な哲学理論を具体的に整理しており、歴史哲学や思想史を深く学びたい読者に非常に示唆に富む内容です。
本書の主題は、カントとヘーゲルの哲学において歴史哲学がどのような位置を占めるのか、そして両者がどのような関係にあるのかということである。中でも中心的な論題をあげるとすれば、両者の歴史哲学の中で人間の自由がどのように扱われるかという問題である。カントもヘーゲルも歴史がある一定の目標に向かって進むという立場をとる。その進行はカントでは自然の意図、ヘーゲルでは理性の狡智によって導かれ、人間はそれらに操られる人形であるかのように描かれる。それでは人間の自由な行為は、歴史の進行の中では発現されないのであろうか。歴史の進行に意図的に参与する可能性は、人間には閉ざされているのであろうか。問題の解決は、ヘーゲルにおけるほうがより容易であるように見える。カントが自由を必然性との対立において捉えるのに対し、ヘーゲルの自由概念は、必然性の洞察にもとづき、必然性との一致において成立するからである。しかし必ずしもそうはいえないことが本論において示されるであろう。
『カントとヘーゲルの歴史哲学 歴史の中での自由』榎本庸男著は、カントとヘーゲルの歴史哲学を比較しながら、「自由」というテーマを軸に思想を丁寧に解説した一冊です。カントの道徳哲学的視点と、ヘーゲルの弁証法的歴史観を通じて、人間の自由と歴史の進展の関係を考察しています。抽象的な哲学理論を具体的に整理しており、歴史哲学や思想史を深く学びたい読者に非常に示唆に富む内容です。