ありがとう
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【パッとしない】
登場人物のたった一言でそれまでの空気をガラッと変えてしまうほど緻密に計算された会話劇と心を抉られる巧みな心理描写に震えた傑作。感情表現のあまりに鋭い切れ味にメッタ刺しにされる。なぜなら私も「悪気はない」「そんなつもりはなかった」の言動や行動で傷つけられたことのある被害者であり、自分も無意識のうちに加害者になっている可能性が高いからだ。実際のところは相手の捉え方次第なのでわかりようがないが、受けた側の傷跡は一生消えないし、癒えることはない。自分の過去を振り返るのが思わず怖くなってしまう。