今回は養蚕を営む豪農の旧家を舞台にした愛憎劇。
売れない絵師・鳳仙のもとを訪ねた美しい女・深山は、彼に養蚕の守り神の猫の絵の執筆を依頼するが……
相変わらず事件は陰惨で猟奇的、美麗な絵がグロい描写に悲愴な残虐美を付与する。今巻では蚕に萌える(笑)鳳仙の包容力、人としての優しさが際立ちました。しかし深山の心は頑なで……いや、主従ものが好きな私は大いに楽しめましたが!
ギャグが雰囲気を壊すとおっしゃる方もいますが、私はこれでいいと思います。
扱うテーマが暗く重いだけに、合間合間に挿入されるユーモラスな掛け合いがちょうどいい緩衝材として機能する。
シリアスに徹しようと思えばいくらでもできるのでしょうが、コメディ部分と緩急が付いてこそ、個々の登場人物が背負った闇の深さや立場のシビアさがリアルに立ち上がると思います。蚕や蛾と触れ合う鳳仙にはとても和みました(笑)
しかしこの巻最大の見所は若く美しき当主・深山と使用人・藤の関係。
ネタバレになるので詳細は控えますが、互いを想い合うあまりに生まれた行き違いの悲劇が胸に迫る。村を去る鳳仙が残した絵に託したメッセージと、その絵を拝み泣く満作の姿に貰い泣きしそうになりました。
花や幼虫の成長速度が早過ぎるなど矛盾点もあるのですが、それらを差し引いても面白かったです。













