小数点が付けられないので4にしたが気持ち3.8くらい。
面白くなくはないが面白い!と絶賛できるほどではない。粗削りや未熟な点も目立ち、アングラな作風は万人受けするとは思えない。正直鬼滅が爆発的にヒットしなければ短編集は出なかったと思う。
紙質が本来のジャンプ単行本と違って高級感あるのだが、ちょっとめくりにくい……。
鬼滅のプロトタイプとなった短編も収録されておりお馴染みのキャラも出演してるので、ファンならこれだけでも読む価値あるのではなかろうか。
しかし敵視点から導入し、主人公(?)の登場が本編の半分以上が経過してからとなるので、設定がわかりやすいとは言えない。世界観の敷居が高い。
他の短編も蟲の異能を宿した性格の尖った兄弟や人の邪気が見える浮世離れした青年など、王道少年誌向けというより、マイナーでマニアック路線が多い。主人公の年齢が高め(十代後半~二十代)なのもあり、 IKKIっぽい印象を受けた(個人の感想)。
登場人物の価値観やセリフ回しは個性的。そしてこの短編集で最も印象に残ったのはマミコさん。言動からして悪役か憎まれ役だと思い込んでたのだが、後の読み切りで再登場した時の発言が素晴らしい。
甘ったれてんじゃないわよ 人のことなんか あんたのことなんか みんな全部どうでもいいのよ
誰かに大事にしてもらおうなんて思うんじゃないわよ
そうしてもらえる人は運がいいの
あんたはそんな運持ってないの
ひねくれてるあんたを 可愛げのないあんたを 今は 誰も大事になんかしてくれないのよ
だからせめて自分くらいは 誰にも望まれてないならせめて自分くらいは
自分のこと大事にしてやりなさいよね
顔も描かれない脇役にこんなずしりとくるセリフを言わせるとは……
根底にある価値観がとてもシビア。
主人公も炭次郎のような良くも悪くもわかりやすいタイプではなく、ダークヒーローやアンチヒーロー寄りのひねくれたヤツが多い。収録作の中ではジグザグが好感触。
……しかし「結婚式帰りに振袖で疾走」は無理がないか?
あの女性が振袖であることに何ら必然性がない。
おそらく「振袖の女の子が首を吊られて落ちる」シーンを描きたいが為のチョイスだったのだろうか、禰豆子の緊縛といい、作者の倒錯的なこだわりを感じる……。











