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現実のようでどこか非現実的な、不思議な手触りのある物語でした。結婚という制度や夫婦の在り方が、静かで淡々とした語り口のなかにじわじわと滲み出していて、読んでいて不安になるような、それでいてどこか心地よい不思議な読後感がありました。相手と生きるということの難しさや、自分自身が変わっていく感覚がリアルで、誰の中にもある「違和感」を丁寧に掬い上げている作品だと感じました。ページを閉じた後も、言葉にできないざわつきがしばらく残りました。