ありがとう
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モラハラ夫に抑圧され、自分が縛られていることにさえ気づいていなかった咲季子。そんな彼女が、堂本との出会いと恋愛を通じて、次第に「自分自身」を主張できるようになっていく過程には、手に汗握るものがありました。
けれど、物語が後半に進むにつれ、その恋愛の魔法が解けていく描写が何より恐ろしかったです。
あれほど夢中になったはずの堂本も、実は「しょうもない男」でしかなかった……。その事実に気づいた瞬間、彼女の心から急速に熱が冷めていく感じが、あまりにリアルで背筋が凍る思いでした。
「もっと早く気づいていれば」と読んでいると思いました。けれど、回り道をしたからこそ見えた景色もあるのかもしれません。
自分を取り戻した彼女は、この先どんな道を選んでいくのでしょうか。夫との関係、そして自分自身の生き方。その決断の先にある未来が気になって仕方ありません。
女性の自立と、愛という名の幻影を鋭く描き出した、一気に読ませる一冊でした。














