タイトルと表紙を見て、童話のようなお話なのかな? と思いながら読み始めると、ストーリーの面白さと登場人物の魅力にグングンと惹きつけられます。
林檎のように真っ赤な赤い髪は、自国タンバルンの第1王子の目にもとまるほどの美しさです。
愛妾になることを強要されたヒロインの白雪は、長かった赤髪を自らの手で切り落とし、リボンを結んだ髪束を置いて出奔します。
たどり着いた森の一角で眠っていた時に、城から抜け出した隣国クラリネスの第2王子ゼンと出会います。
自分の目で街をよく見たい、という王子らしからぬ行動力のある型破りなゼンは、魅了的で好感がもてます。
手を貸したいのに、白雪の考えを尊重してグッと我慢して見守るゼンの姿は、微笑ましいです。
全編通してですが、誰かからの助けを求めるのではなく、窮地に陥っても自分でなんとか活路を見出そうとするところに、白雪の魅力が詰まっています。
タイトルに「姫」と付いている割には、己の境遇を嘆いてヒーローに助けられることを待たない、自立したヒロインは好感度が抜群です。
他力本願ではない真っ直ぐな白雪に、頑張れ! と自然に応援したくなります。
二人の関係性は次第に変化して、お互いの意思を大事にする友人から、大切な人として傍にいるために、白雪が宮廷薬剤師を目指すようになるまでが、丁寧に描かれています。
王国ものファンタジーらしい小物やストーリーに、ワクワクと胸躍ること間違いなしです。