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この一冊は、まるで千年の恋の迷宮を、90分で駆け抜ける魔法の鍵のようでした。紫式部が紡いだ壮大な物語を、板野博行さんが現代の読者に向けて、親しみやすく、ユーモラスに再構築してくれています。原典は難解で敷居が高い…そんな印象を持っていた人も、この本ならすっと物語に入り込めます。登場人物ごとのエピソードがマンガやダイジェストで描かれていて、光源氏の恋模様がまるで連続ドラマのようにテンポよく展開。「あの人、こんな性格だったの!?」と驚きながらも、笑って読める構成が魅力です光源氏の恋は、ただのロマンスではなく、時に切なく、時に滑稽で、時に哲学的。この本では、そんな多面的な恋模様が軽妙に描かれていて、「恋ってこんなに複雑で面白いんだ」と再認識させられます。特に、藤壺や紫の上との関係は、現代にも通じる“心の揺れ”を感じさせてくれます。この本は、源氏物語をただ理解するためのガイドではなく、物語の“情緒”や“余韻”を味わうための入り口。この一冊は、源氏物語という“はてしない恋の物語”への扉を、そっと開いてくれる案内人のような存在。