あなたは、すべてを失くしてしまったらどうしますか?
主人公・五十嵐海里。
芸名・五十嵐カイリ。
海里は、ふとみた雑誌の出演者募集に応募し、芸能人となりました。その後、朝の情報番組の料理コーナーを担当し人気となりますが、スキャンダルに巻き込まれ、芸能界を追放。
行くところは実家しかないが、芸能界入りを反対していた家族も助けてくれず……
自暴自棄になって、絡まれたところを「ばんめし屋」の店主・夏神留二に助けられます。
夜から始発電車の時間までしか開店しない彼のお店には、終電を逃したお客さんや常連さんがやってきます。そして感受性豊かな人しかみえない、『よるべなきもの』もやってきます。
定食は1種類だけで、生姜焼き、ハンバーグなど美味しそうです。
店主と海里は、古いメガネの付喪神(つくもがみ)ロイドの声も聞こえます。
やがて海里は "とくべつ" な存在を見つけ、だし巻き卵を作り、自分を取り戻します。
あなたにとって "とくべつ" は、何でしょうか?
序章はゆっくり、途中から一気に読みたくなるほど描写の鮮明な作品で、
シリーズの続きも読みたくなる、心暖かくなる小説です。
だし巻き卵、食べたくなってきました。
うまく作れるでしょうか?