大分の田舎町に越してきた若い女性。「何者なのか?」と噂話をする村人たちのように、読者も主人公キナコのことが気になりながらストーリーが進むにつれて次第にわかっていく。
家族には恵まれなかったけれど、出逢いに恵まれて、最後は希望の見える感じで終わる。
不遇から救ってくれる出逢いがなかったら悲しい境遇のままでストーリーにもならないんだけれど、肝心なところで助けてくれる人がいて、という展開がご都合主義的で、作られた感が見えてしまうのが残念だったし、主人公や主要キャラクターの人生の不遇な部分も「楽し」くはない。
「人生って辛いよね」と共感したくて小説を読む人は多いのだろうか。