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四千石の旗本の娘・珠貴に見初められた、笛師の片山賛四郎。
幼少の時に疱瘡を病み、片目になり痘痕顔でもある兄・吟松と違い、美男子と言われている弟の賛四郎ですが、野心家でもありました。その賛四郎の野心が、事態を思わぬ方向へ導きます。
妻・珠貴、山家育ちの娘・桜戸八重、兄・吟松、珠貴の父台右衛門らを掻き乱す賛四郎の悪癖です。
同じ吉川英治作品の中でも、主人公の悪癖の発露が浸透的で急な展開が無く、その分自然な流れで読む事が出来ました。