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人工授精で出産することが当たり前の世界からセックスが消滅し、ヒトを相手に恋愛することも廃れつつある近未来の世界。
千葉にある特区では、市民の義務として抽選で選ばれた男女が人工授精で施策として出産する社会。婚姻による夫婦関係も、出産や育児という親子関係も消滅し、家族という概念もない世界。
恋愛に悩むことなく、家族に煩わされることもない世界は幸せなのか。そんな世界では、個性や人格を持つ一人一人が人間関係を築くアイデンティティが失われるという警鐘を鳴らす作品に思われた。
読んでいて楽しい作品ではなかったが、少子化や高齢化が危惧される今、考えさせられる設定だった。