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『アラブ飲酒詩選』を読み、アブー・ヌワースの奔放で洒脱な詩の世界に魅了されました。
禁酒の戒律があるイスラム社会において、酒をこれほどまでに賛美する彼の詩は、タブーに挑む反骨精神と、人間性の解放を求める強い意志を感じさせます。
本書の翻訳も、詩の持つリズムやニュアンスを丁寧に伝え、異文化の詩でありながらも、その情景や感情が鮮やかに心に響きます。
特に、酒の色彩や酔いの感覚を五感で捉えた描写は、読んでいるうちに共に陶酔してしまうような感覚を覚えます。
単なる酒賛歌にとどまらず、人生の喜びや憂いを酒を通して表現するアブー・ヌワースの詩は、時代を超えて人々の心を捉える普遍的な魅力に溢れていると感じました。
ユーモラスでありながらも、どこか寂しげな彼の詩には、人間の複雑な感情が凝縮されているようです。