純文学を目指すも出来心で書いたラノベがヒットしスランプに悩む作家・矢文学(ブンガク)と、正統派文学少女だが中身は腐った女子高生・明日葉の、むず痒いほどにじれったく甘酸っぱい純愛物語。
腐女子の恋愛ものは昨今の流行りですが、これは同時に作家とファンのラブストーリーでもあります。
明日葉はブンガクの書いたラノベをこよなく愛しキャラに萌える生粋の腐女子、二次元アレルギー持ちのブンガクは明日葉に惹かれながらも哀れその妄想爆裂な生態に振り回される事に。
恋愛経験ゼロ、堅物で生真面目なブンガクと明日葉のやりとりは見ていて微笑ましい。しかし本作で語られるのは物書きなら誰もが共感するだろう創作の悩み、「誰の為に小説を書くんだ?」という素朴な命題。
極論してしまえば、作者にとって読者は見えない人。
自分の本がいかに支持されてるといえど、実際書店で買われる瞬間を目撃でもしない限り実感し得ないのでは?またブンガクは、ネットに氾濫する書評や腐女子中傷の風潮にも疑問を呈すも、それに答える明日葉のまっすぐな眼差しと言葉がまぶしい。
奥手で不器用な二人を温かく(?)見守る脇役も魅力的。
編集者を目指す親友やその彼女、男勝りな担当編集者がおたつくブンガクの尻を叩いてくれます。ヒロインの明日葉はちょっと出来すぎなくらいイイ子なんですが、ブンガクとの恋愛模様がとてもほのぼのしてるので自然と応援したくなってくる。
ついったーやブログ、コミケなど、オタクと親和性の高いツールやイベントが二人の関係性を深める重要なキーとして続々登場するので、それらに馴染んだ読者はわくわくするようなライブ感を味わえます。











