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『『フランケンシュタイン』とヘルメス思想 自然魔術・崇高・ゴシック』(田中千惠子)は、メアリ・シェリーの名作を哲学的・思想史的視点から読み解く意欲的な研究書です。特にヘルメス思想や自然魔術の影響を丁寧に分析し、怪物創造や科学への探求心が単なるゴシック的恐怖ではなく、人間の知的・倫理的欲望の表れであることを示しています。また、「崇高」という美学概念を通じて、恐怖と感動の複雑な心理構造が作品に込められていることを理解させてくれます。文学と思想が深く結びつくことを実感できる一冊です。