ありがとう
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雪山が舞台なのに「きれい」より先に「こわい」が来る小説だと感じました。真っ白なゲレンデの下に爆弾があるかもしれない、という設定だけで、読んでいてずっと背中が冷えていました。
特に、スキー場の安全を守ろうとする現場スタッフたちの必死さと、その努力とは別のところで事態が転がっていく感じがしんどかったです。パトロール隊がゲレンデを駆け回る場面は、サスペンスというより災害現場を見ているような緊張感がありました。
一方で、警察に通報せず、イメージや利益を優先しようとする経営陣には、読んでいて普通に腹が立ちました。でも現実にもこういう判断はありそうで、そこがいちばん怖いところでもあります。人質は客だけでなく、スキー場で働く人たちの生活でもあるのだと突きつけられる感覚でした。


















