直木賞を受賞したこともあって、評判をよく耳にしていた本作。
なんとなくの気持ちで読んでみたことを反省するくらい、衝撃を受けました。
主人公は、演劇サークルで脚本を書いていた経験を持つ拓人。彼の目線で物語が進みます。
時は就職活動の始まる12月。
拓人のルームメイトで明るいキャラクターの光太郎や、光太郎の元カノで拓人が好意を寄せる瑞月など、
就活をするタイミングの大学生5人が、それぞれの就活を始めていきます。
特徴的なのは、物語の合間にTwitterの投稿文章が挟まるところ。
そもそも最初の登場人物一覧が載るページには、Twitterのプロフィール画面が紹介されています。
本作は、単なる大学生の就活奮闘記ではありません。
“何者”かに見られたい、焦りや不安を抱える就活生の人間関係が、SNSも絡めて描かれていくところがポイントです。
そして私が衝撃を受けたのは終盤のとあるシーン。
読者として安全な外側からこの世界を覗いていたはずなのに、突然内側から言葉のナイフを投げつけられたような感覚を味わいました。
どのシーンかは、読めばすぐにわかると思います。
そして読後は、一体どうしてこうなってしまったんだろう、自分は彼らと比べてどうなんだろう、なんてことが頭の中をぐるぐると…。
共感ポイントが多いだけに考えさせられるポイントも多い、そんな作品でした。
大学生の就職活動がテーマの小説
ツイッターのアカウントを2つ作って片方に知人の悪口を書いたり、バイトを仕事と言ったり、内定が出た人の内定先にブラックと付けてネット検索したり、人の痛さや醜さがこれでもかと出てきた。
登場人物は留学して卒業が遅れる、内定が出ず卒業を遅らせるなどみんな留年している。ストレートに卒業しないと内定が出ないようにも見えた。