人びとは〈食べ方〉をどのように変化させていったのか。
宮廷の饗宴からレストランでの食事、庶民の会食にいたるまでその歩みを追う。
食べるという行為は、単に生命を維持するための栄養摂取にとどまらない。どのように食べるか、ということを我われ人間は考えてきた。テーブルの前に置かれた椅子に座り、ナイフとフォークを使って行儀よく食べるという、現代で当たり前となっている食事の光景は、ヨーロッパで長い年月のあいだに形成されたものである。王を中心とした宮廷という社会で、ほんの一握りの人びとが築き、特権的に受け取ってきた文化は、近代に入り、より身近なものとなった。そして今、現代に生きる我われも、それを享受している。
『〈食べ方〉の文化史』と題する本書では、古代から近代にかけて、時代とともに変わっていく食の環境を追いながら、ヨーロッパの人びとの「食べ方」についてみていく。どのような場所で、なにを、どのようにして食べたのだろうか。また、人びとにとって、食べるとはどういうことであったか - 本書の旅は、こうした問いから始まる。宮廷の饗宴を中心に、食が文化へと昇華した歩みを、一緒にたどっていただければ幸いである。
(「はじめに」より)
第1章 古代から中世におけるヨーロッパの食
(寝そべって食べていたローマ人/中世の社会と礼儀作法/食卓のマナーの誕生/中世の饗宴/ふさわしくあるための礼儀作法 など)
第2章 ルネサンスと食 ⎯⎯ イタリアで始まる新時代の幕開け
(洗練されていく食卓/料理の配膳の変化/給仕の役割/礼儀作法と食べ方の変化/フォークの登場 など)
第3章 フランス絶対王政下の食と作法 ⎯⎯ オート・キュイジーヌの誕生
(王の食事の儀式/ルイ十四世時代の饗宴の様式/絶対王政下の礼儀作法書/食卓における作法の変化 など)
第4章 十九世紀における食のかたちと習慣 ⎯⎯ 新しい社会の礼儀
(宮廷からレストランへ/レストランの発展と人びとの変化/料理書にみるブルジョワジーの台頭/新しい社会の礼儀作法 など)
第5章 宮廷文化の継承と東洋への広がり
(日本の西欧化までの道のり/区別を示す手段であり続ける礼儀作法/日本社会でのヨーロッパ式作法の広まり など)
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