羽海野先生の描く主人公は「いつも自分自身と戦っている」と感じる。主人公・零は実の両親を失い、育ての親の家で暮らす。義理姉弟との関係は複雑で一言で言い表すのは難しい。これから彼が幸せになってほしいと心から願う。
アニメ化2期、実写映画化と、コミックとして名前を知らない人はいない名作です。
実は、アニメや実写よりも情景を浮かべやすいのが1巻のコミックだと思います。
主人公の「桐島零(れい)」が思っていることを文字化しないので(1巻前半は零のページは文字が少ない)、零を取り巻く世界を客観的に見ることができると思いました。
1巻をコミックで読むと、アニメや実写映画が全く違うものに感じます!
もし読んだことがなければ、ぜひ読んでから、もう一度アニメなどを見てみることをおすすめします!
川本家の3姉妹とのだんらん時の美味しそうでほんわか明るい感じや、ライバルの二階堂との暑苦しい(笑)やりとりを見ても、
零にまとわりつく暗さみたいなものは取り去ることはできないのですが、周りのキャラクターが魅力的なのでついつい読み進めてしまう。
1巻から羽海野チカ先生マジックは健在でした。
ただ今までの羽海野チカ先生の作品と少し違ったのは、最初からかなり強烈な負のエネルギーを発するキャラクターが出ていたこと。
そして、零のバックボーンを1巻で早々に出していること。
これから零はどのような道を、
どのように進んでゆくのだろう、と気になる1巻の終わり方でした。
また、別の羽海野チカ作品同様、絵が素晴らしい。
将棋会館は実在する場所と建物ですし、零と川本家の住んでいる町は東京都に実在すると思われる場所が各所にあります。
東京都を知っている人には「あ、ここ!」と思える場所も出てきますので、そちらも楽しんで読んでいただけると思います。