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各章は異なる視点から語られ、静加の関与する事件を追う中で、彼女の過去や心情が徐々に明らかになります。その冷徹な行動と裏に潜む痛みが、読者に強い印象を与えます。
物語は時系列が前後し、視点が変わることで複雑に構成されていますが、それが逆に静加の多面性と物語の深みを際立たせています。彼女の行動の裏にある動機や心情を追いながら、最終的には人間の複雑さと命の重さを考えさせられる作品です。
誉田哲也の他の作品とは一線を画す、心理的な深さと構造的な巧妙さが光る一冊です。ミステリーやサスペンスだけでなく、人間ドラマとしても非常に完成度が高く、心に残る作品となっています。