ありがとう
0
本巻の主役は、煽動班のエルナ。彼女の“死”を演出することで革命を再点火するという大胆な作戦が展開されます。アネットの《我楽多》とのコンビネーションも見事で、エルナの“スパイとしての覚悟”がついに本物になった瞬間は、読者の胸を打ちますシリーズ最強格のスパイ・ニケが、今回も“灯”の一手を次々と潰していく展開は圧巻。革命は成功したかに見えて、実はニケの掌の上だった…という二転三転の構造が、スパイ教室らしい緊張感を生み出しています。クラウスの暗躍も含めて、盤面をひっくり返す快感が味わえる巻です収容所に囚われたメンバーの救出、グレーテの登場、リリィの“ポンコツながらファインプレー”など、各キャラの見せ場も充実。特にティアの真相暴露シーンは、感情の爆発と情報戦の融合で、読者を震わせる名場面となっていますアネット・エルナ・サラのトリオが藍蝗との戦いで見せる連携と感情の交錯も見逃せません。互いへの理解と信頼が、戦術だけでなく物語の“心”を支えていて、煽動班の絆がついに完成したような感動がありますあとがきでは、シリーズ完結に向けてプロットの練り直しが進んでいることが示唆され、次巻『燎火のクラウス』がいよいよ“暁闇計画”の核心に触れる展開になることが予告されています。長く続いたライラット王国編の終着点として、12巻はまさに“転換点”の一冊ですこの巻は、エルナの“万愚節”というコードネームが、ただの皮肉ではなく“革命の鍵”として機能する瞬間が描かれ、スパイ教室の中でも屈指の心理戦と感情の深さが味わえる傑作。