2024年の本屋大賞受賞作『成瀬は天下を取りにいく』の続編が刊行されている。タイトルは、『成瀬は信じた道をいく』
前作がめちゃくちゃおもしろかっただけに、今作はどうなるのか少し心配だった。でも、そんな心配は必要なかった。またまためちゃくちゃにおもしろかった。前作を上回る程の内容だ。
5話からなる作品になっていて、それぞれに濃いキャラクターが出てきて成瀬と関わっていく。小学生がゼゼカラ(成瀬)に憧れ、父親が成瀬の将来に気を揉んで、クレーマーに関わったり、びわ湖大津観光大使に選ばれたり、最後は行方不明になって総出で探すことになってしまったりと、予測不可能な展開の連続で楽しませてくれた。
この作品のテーマは「多様性」と感じた。それも、力強い「多様性」だと思う。周りの人達は、普通で考えれば成瀬とケンカして離れていく関係性だが、そうでないところにこの作品の絶対的良さがある。自分の良いと思う道をひたすらに歩んでいく、凛として颯爽とした気持ち良さがある。
今作では高校生から大学生になった辺りのストーリーになっている。やはり、その続きを期待してしまう。次があるなら、大学生から社会人になるまでの成瀬あかりをぜひとも読んでみたい。