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戦後の混乱期。一代で巨富を築いた犬神佐兵衛翁の死によって遺言が発表されると、複雑な血縁関係と莫大な遺産相続を巡り、血で血を洗う連続殺人が起こります。犬神家の三種の神器「斧・琴・菊」になぞらえた見立て殺人の斬新さなど、金田一シリーズの中で最も映像化回数が多いことからも人気の程が分かります。

横溝正史の代表作『犬神家の一族』は、遺産相続をめぐる複雑な人間関係と、次々に起こる猟奇的な殺人事件が絡み合う本格ミステリーの傑作です。古風な日本家屋や因習の残る一族の描写が濃密で、金田一耕助の名推理とともに、重厚な雰囲気を醸し出しています。特に有名な“逆さ足の死体”の場面は衝撃的で、視覚的にも強く印象に残ります。サスペンスと人間ドラマが絶妙に融合した、読後の余韻が深い名作です。