ミス・マープルシリーズの長編8作目。
2作目『書斎の死体』の事件現場でもあったゴシントン・ホールを、マリーナ・グレッグという俳優が購入。
夫と共に引っ越してきた彼女は、改修した新居を披露するパーティーを開催するが、
そこで一人の女性がカクテルを飲んで死亡してしまう…というお話です。
このゴシントン・ホールのある村にミス・マープルも住んでおり、
友達が事件発生時に現場のすぐ近くにいたこと、そして昔なじみの警部が噂を聞きにミス・マープルを訪ねてくることから、
彼女も真相を明らかにしようと思考を巡らせていくわけです。
事件自体はシンプルなものですが、魅力的なのは人物描写。
登場人物の一人であるヘザー・バドコックの描写など、こういう人いる~!と理解しやすかったです。
そういう意味では、作中でミス・マープルが、町が変わっても人は変わらないと言っていた通りだと思いました。
60年以上前に書かれた作品の登場人物に説得力を感じられるわけですから。
あとは、病気をしたり転んでしまったりで、付き添いの婦人に度々高齢者扱いされていたミス・マープルですが、
ラストで見せる毅然とした態度は相変わらず格好良くて素敵でした。