恋と生活の温度がリアルすぎる 角田光代の名作6選|大人の感情を読む入門
恋愛や人生の難問を克明に描き出す角田光代さんの作品は、そのリアルさに心を打たれます。感情の起伏を繊細に描きながら、どこか抽象的な言葉遣いが独特です。互いに惹かれながらもすれ違ってしまう大人の恋愛、紬には人生の喜びや悲しみが丁寧に織り込まれています。そして、彼女の言葉には、どこか懐かしさを感じさせる響きがあります。まるでノスタルジックな風景を巡らせながら、現在と過去、夢と現実の間を行き来するかのよう。角田作品の魅力はなんと言ってもそのリアルさと深度です。一度読み始めたら、ページを捲る手が自然と止まりますよ。
『明日、あたらしい歌をうたう』
「君がいつもそばにいるから 毎日があたらしい」
遺影として飾られていたカリスマ的なミュージシャンの写真を、父と聞いて育った新(あらた)。
誰にも見えない存在として少女時代を生きてきたある日、耳にした音楽に救われ、恋に出会って新の母となった、くすか。
新が父の真実を知った時、二人の物語が、一つの歌に重なりはじめるーー。
200ページで大長編の感動を約束する、珠玉の青春小説であり、親子小説であり、胸を打つ恋愛小説。
人の人生を変えた一曲を描く、あなたの人生を変える一冊。
【角田光代さんより皆さまへメッセージ】
どんなにちっぽけな原因であれ、奈落の底に落とされた気分で、もうだめだと思いこみ、起き上がることすらおっくうなとき、あなたは何に救われてきましたか? と、いろんな人に訊いてみたことがあります。小説、ドラマ、テレビのお笑い、いろんな答えがありました。自分を救ってくれたものを、職業として選び取っている人もいました。
私の場合は音楽です。
音楽がはじまり歌が流れる。どん底にいる私のところに光がさして、景色が見える。夜をうつくしいと思う。いっしょに笑っただれかをたいせつだと思う。冬の光が金色だと知る。歌われているすべて、私の体験ではないのに、この世界が生きるにあたいするうつくしい世界だということを、体感する。
私は音楽にくわしいわけではありません。聴く音楽もかたよっているし、流行にも疎いです。それでも信じています。すべての音楽には、それを必要とする人を救う力があると。
音楽でなくても、私たちを救ってくれるものはあると思います。そうしたものと出会うということは、けっして生きやすいとはいえないこの世界に、私たちだけの居場所を作るようなことなのだと思います。
自分がなぜここに生まれてきて、なぜ生きているのかわからない人たちが、あるとき、生きるにあたいする世界と出会う。これはそんな物語です。
今まで私を幾度も救ってきてくれた有形無形のものにたいする感謝の気持ちであり、恋文のようなものです。
読みながら、あなたの世界を変えた何かに思いを馳せてもらえたら、とてもうれしく思います。
ーー角田光代
あらた少年の第一章
くすかの第一章
あらた少年の第二章
くすかの第二章
あらた少年の第三章
| 作者 | 角田光代 |
|---|---|
| 価格 | 1870円 + 税 |
| 発売元 | 水鈴社 |
| 発売日 | 2026年02月26日 |
『ちょっと角の酒屋まで』
雑誌『オレンジページ』で約20年。作家・角田光代が、日々の食卓と旅の記憶、そして変わりゆく日常を、気取らない筆致で綴り続けてきた人気エッセイが待望の書籍化! 本書には、後世に残るような教訓も、背筋が伸びるような大義名分もありません。 海外の空港で機内持ち込み不可の食材を没収されて肩を落とし、冷蔵庫の生姜に生えたカビに怯え、酒好きでありながら、昼酒と立ち飲みは苦行に感じるーー。そんな、どこまでも個人的で、だからこそ愛おしい出来事の数々が綴られています。
本書は雑誌『オレンジページ』で連載中の「ちょっと角の酒屋まで」(2023年3/17号〜2026年1/17号)を再構成したものです。
【第1章】夢の没収食堂
夢の没収食堂/はじめての聖地/ナッチポックンのこと/旅ごはんの成功と失敗について/ローカルごはんあれこれ/じゅーしーを知っていますか/修行と行楽/太刀魚愛の目覚め/初がんす、未せんじ肉/パスポート哀愁/私のための料理
【第2章】それぞれにあった方法
それぞれにあった方法/信じる勇気/雄弁な犬たち/至福か苦行か/ネガティブ一言/痩せる食べかた/愛用ということのおそろしさ/半分の世界/夏の寒さと冬の暑さ/ネガティブ最高級/スーパーマーケット推し/閉店時間ではかる強度者/転ぶ頻度/恐怖症ニューカマー/指の先/それだけはやっていない/好きと似合う/地味でも派手でも/いたしかたないファッション/ここまででいい/こわい想像力
【第3章】消えていったものと記憶
消えていったものと記憶/サザエさんの世界/店を見送る/私たちの美容院移動/あなた何年生?/ズボン丈革命/三大なぜから三大がまんへ/のり弁出世/昭和と令和のオロナミンC/味覚と記憶/パンデミックと近未来/あのときの分かれ道
【第4章】食いしん坊の法則
食いしん坊の法則/弁当欲について/高級味噌のこと/こわいけどおいしい店・上/こわいけどおいしい店・下/炒飯を悔るなかれ/隠れに隠れた隠し味/カレートリック/夢の小ライス/納豆愛/ハンバーグ日和/夢の大食い/好物の順番/夢がかなった話/手前味噌/レシピ実験動画/好きになるきっかけをくれた人
| 作者 | 角田光代 |
|---|---|
| 価格 | 1760円 + 税 |
| 発売元 | オレンジページ |
| 発売日 | 2026年02月18日 |
『ゆうべの食卓』
| 作者 | 角田光代 |
|---|---|
| 価格 | 不明 |
| 発売元 | |
| 発売日 |
『方舟を燃やす』
オカルト、宗教、デマ、フェイクニュース、SNS。あなたは何を信じていますか? 口さけ女はいなかった。恐怖の大王は来なかった。噂はぜんぶデマだった。一方で大災害が町を破壊し、疫病が流行し、今も戦争が起き続けている。何でもいいから何かを信じないと、今日をやり過ごすことが出来ないよーー。飛馬と不三子、縁もゆかりもなかった二人の昭和平成コロナ禍を描き、「信じる」ことの意味を問いかける傑作長篇。
| 作者 | 角田 光代 |
|---|---|
| 価格 | 1980円 + 税 |
| 発売元 | 新潮社 |
| 発売日 | 2024年02月29日 |
『神さまショッピング』
| 作者 | 角田/光代 |
|---|---|
| 価格 | 不明 |
| 発売元 | 新潮社 |
| 発売日 |
『タラント』
学生時代はボランティアサークルに所属し、国内外で活動しながら、ある出来事で心に深傷を負い、無気力な中年になったみのり。不登校の甥とともに、戦争で片足を失った祖父の秘密や、祖父と繋がるパラ陸上選手を追ううちに、みのりの心は予想外の道へと走りはじめる。あきらめた人生に使命〈タラント〉が宿る、慟哭の長篇小説。
解説・奈倉有里
| 作者 | 角田光代 |
|---|---|
| 価格 | 946円 + 税 |
| 発売元 | 中央公論新社 |
| 発売日 | 2024年08月20日 |
これまでの紹介を通して、皆さんに角田光代さんの魅力を多少でもお伝えできたら幸いです。角田さんの作品は常に私たちの心の奧深くに触れ、それがときには痛く感じたり、胸が苦しくなったりします。しかし、その感情を呼び覚ますことこそが、彼女の作品に魅せられる大きな理由ではないでしょうか。
ストーリーは大げさでなく、日常の中に潜む小さなドラマを敏感に拾い上げ、一見日常的で些細な出来事を大きく照らし出します。そして、その照らし出されたものの中に常にあるのは、「人間」の本質。人間が持つ感情や思考、欲望、衝突、そしてその全てを包み込むような温かな視線。それらを深く捉え、誠実に描き出す角田さんの筆致は、読み手の心を深く揺さぶります。
独特のリアルな描写は、登場人物やその感情に対して自分自身を見つめ直すきっかけを与えてくれます。決して万人に受け入れられるものとは言えないかもしれませんが、こういうヘビーなテーマを自分のペースでじっくりと読み進めることで、新たな視点を得ることができます。
角田光代さんの作品は、感情を呼び覚ますだけでなく、読む人自身も成長させてくれる稀有な存在だと思うのです。これまでに読んだことのない方は、ぜひとも手に取ってみてください。その一冊が、あなたの日常に新たな色を加えてくれるかもしれませんよ。
これからも、私たちは角田光代さんの作品とともに、人生と向き合いながら、多様な感情や意見を経験していくことでしょう。そのすべてがまた、深みのある大人の感情を築く一助になると思います。あたたかい珈琲片手に、今夜も一緒に読書の時間を過ごしませんか。今回紹介した作品は、きっとあなたの心にとどまるはずです。
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