【松田青子】フェミニズムとユーモア──松田青子作品5選
世界に眼を向け、自身の思考を研ぎ澄ませる。それがフェミニズムの真髄。松田青子の作品には、その思想が良質な笑いとともに散りばめられています。登場人物達の織りなすドラマを通じて、日常に潜むジェンダーの問題を無理なく見つめ直すことができますよ。キャラクター達の鮮やかな言葉遣いにも注目です。そこから溢れ出るユーモラスな笑いが、難しいテーマを分かりやすく伝えてくれます。だからこそ、松田青子の作品は、フェミニズムに興味がある人はもちろん、初めて挑戦する方にもオススメ。楽しく読める5作をピックアップしましたよ！
『スタッキング可能』
５階Ａ田、６階Ｂ野、４階Ｃ川、７階Ｄ山、１０階Ｅ木…似ているけれどどこか違う人々が各フロアで働いているオフィスビルー女とは、男とは、会社とは、家族とは…同調圧力に溢れる社会で、それぞれの『武器』を手に不条理と戦う『わたしたち』を描いた、著者初の小説集。文庫本書き下ろし短篇「タッパー」を収録。第４回Ｔｗｉｔｔｅｒ文学賞（国内部門）第１位。キノベス！２０１４第３位。
| 作者 | 松田 青子 |
|---|---|
| 価格 | 605円 + 税 |
| 発売元 | 河出書房新社 |
| 発売日 | 2016年08月08日 |
『男の子になりたかった女の子になりたかった女の子』
「私の生理ってきれいだったんだ」
『おばちゃんたちのいるところ』が世界中で大反響の松田青子が贈る、はりつめた毎日に魔法をかける最新短編集。 コロナ禍で子どもを連れて逃げた母親、つねに真っ赤なアイシャドウをつけて働く中年女性、いつまでも“身を固めない" 娘の隠れた才能……あなたを救う“非常口"はここ。
| 作者 | 松田 青子 |
|---|---|
| 価格 | 1650円 + 税 |
| 発売元 | 中央公論新社 |
| 発売日 | 2021年04月20日 |
『女が死ぬ』
| 作者 | 松田,青子,1979- |
|---|---|
| 価格 | 不明 |
| 発売元 | 中央公論新社 |
| 発売日 | 2021年05月 |
『彼女たちに守られてきた』
大好きだった児童文学やドーナツの思い出、“タメ口おじさん”や古くさいマニュアルへの違和感。私たちを勇気づけるエッセイ集。
| 作者 | 松田青子 |
|---|---|
| 価格 | 1980円 + 税 |
| 発売元 | 中央公論新社 |
| 発売日 | 2025年03月24日 |
『持続可能な魂の利用』
この国から「おじさん」が消えるーー
会社に追いつめられ、無職になった30代の敬子。
男社会の闇を味わうも、心は裏腹に男が演出する女性アイドルにはまっていく。
新米ママ、同性愛者、会社員、多くの人が魂をすり減らす中、敬子は思いがけず
この国の“地獄”を変える“賭け”に挑むことにーー
女性アイドルに恋する三十女の熱情が、日本の絶望を粉砕！
著者初長篇にして最強レジスタンス小説。
和田彩花（アイドル）感激
小さな叫びでこの世界のバランスは整えられる！ 私は勇気をもらった。
幾原邦彦（アニメーション監督）仰天
その革命が見える者は勇気を得られ、
見えぬふりを生きる者は吐き気を催すだろう。
あなたはどっちだ？
| 作者 | 松田青子 |
|---|---|
| 価格 | 836円 + 税 |
| 発売元 | 中央公論新社 |
| 発売日 | 2023年05月25日 |
松田青子の作品は、今読むと新鮮な視点と笑いが詰まっていて、日常や自己と向き合う力を貰えます。その鋭い社会的な問題提起と、ユーモラスな描写のコントラストが絶妙なのです。彼女のユーモラスな世界は、フェミニズムの視点を通して見るとさらに奥深く、私たちの日常生活の中で起こるさまざまな葛藤を巧みに描き出しています。
彼女のキャラクター達は、ときに自己矛盾を抱えながらも、自分自身を貫き通そうとする強い意志と勇気を持っています。その中で絶えず問われるのは「ありのままの自分とは何か」という問いです。彼女の作品は、自分を見つめ直すきっかけを与えてくれるのです。
単なる娯楽作品としての面白さも持ちつつ、それ以上に社会的なメッセージを込められているところが、松田青子の作品の真骨頂だと思います。彼女の描く世界観は、確固たる意志を持ちながらも、時に自己を疑い、時に笑い、時に泣く「人間」を深く理解し、その上で社会と接していこうとする姿勢が描かれています。
私たちは、松田青子の作品を通して、現代社会の風刺やある種の同情を垣間見ることができます。そして彼女の描く人間観がやさしく、また厳しい視線で私たちを見つめ、自問自答するひとときを与えてくれます。あくまで優れたエンターテイメントとして、また、社会と自己について深く考えさせるきっかけとして、ぜひ松田青子の作品に触れてみてください。
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