「十年後の卒業文集」「二十年後の宿題」「十五年後の補習」と、
それぞれ別の“事件”をめぐる往復書簡が少しずつ真相を明かしていきますが、
同じ出来事でも、書き手の立場や記憶の角度が違うだけで、こんなにも印象が変わるのかと何度もぞっとしました。 
手紙だからこそついてしまう嘘、打ち明けられる本音、許そうとしてしまう罪。
人の弱さと優しさの両方がにじみ出ていて、
読み終えたあと、自分が誰かに宛ててきた言葉も静かに振り返りたくなる一冊でした。
本作は、すべてが手紙のやり取りだけで構成された連作短編集で、過去の出来事を複数の人物が異なる視点で綴ることで、事件の「真実」とは何か、「記憶」とは何かを浮かび上がらせる構成が秀逸だと思います。 
同じ出来事であっても、それぞれの立場や感情によって解釈が異なり、読者としても「誰の言葉を信じるか」という緊張感にずっと身を置かされました。
初めて読んだ、湊かなえさんの作品。
あらすじには「感動と驚きに満ちたミステリ」とありますが、感動はあまり感じることができませんでした。
ただ、物語はすべて手紙の内容になっていて新鮮味があり、人のいい面も悪い面もよく表れている作品だと思います。
私はよく他者の存在を忘れがちになってしまうのですが、一人ひとりに人生があり、誰もが少なからず後悔をしていたり、誰にも打ち明けたくない思いや秘密を抱えているのだろう、と改めて考えるきっかけになりました。










![週プレNo.51 12/22号 [雑誌]の表紙画像](https://m.media-amazon.com/images/I/51Tx24AmMUL._SL500_.jpg)







![ダイヤモンドZAi26年1月号[雑誌]の表紙画像](https://m.media-amazon.com/images/I/51gFRZswm-L._SL500_.jpg)