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【人間の根源的な部分への帰還】
作者が不安を抱え、傷つき、悩み、苦しんだ幼年期のエピソードを中心に、人格形成への大きな影響を及ぼした瞬間が多く書かれている。善悪の判断や死の概念に気付いた時の話なので、作者が罪悪感に苛まれてたり、虚無感を抱えたり、絶望に打ちひしがれるといった場面が頻繁に登場する。作者の人間臭さがとても正直に書かれているのだ。シリアスな内容ではあるが、たまちゃんとの出会いや家族とのほのぼの会話が随所に登場するので、私自身悲しみに支配されることはなく、読後感はどこかすっきりした気持ちだった。