ラジオパーソナリティとしても活動するロバート・ハリスさん自身の自伝的な小説のようです。
作中にはイギリス人とのハーフである父親が、敵性外国人と疑われて拘留されたり、帰化した日本人として徴兵され大陸に出兵した経験を自伝にまとめた、という文章が織り交ぜられ、クウォーターである著者(=主人公)がアイデンティティー探しのように友人や女性たちと交流する日常が描かれる。
同世代だけでなく、大人との交流で自分の世界を広げる主人公。港でロシア船のパーテンダーと知り合うシーンは、シベリア鉄道で旅をした著者の生き方を思い起こさせる。
交流のあった周囲の人々が次々に去っていくストーリーの終盤。ベトナムに旅立つ「カブさん」とは後に思いがけないところで再会することになる、とのことだけど、続編で書く予定なのか。思わせぶりなのは気になるから止めてほしい。