美食好きな御曹司の私立探偵・明智とデリカーでお手製弁当を売る苺の凸凹コンビがメインの推理もの。
原則犯人はわかっても事件はスッキリ解決されないので、その種の爽快感を期待して読むと肩透かし。
殺人者が裁かれず終わるので後味は悪い。
もちろん被害者も悪いとか非があるとか言いたいことはわかるんだけど、「殺されるほど悪いことしたかコイツ??」と問われると首をかしげざるえない。
かといって擁護も同情もできないしたくない程度の卑しい「悪」として描写されるので、なんともモヤモヤ。
いや、後の巻に登場するDV夫とか、読者の感情移入の度合いによっちゃ「死んで当然!!」となるんだけど……
食べログやヤフー知恵袋、地下アイドルなど昨今流行りの社会現象や時事ネタを題材にしてるのは意欲的な試みだが、殺人教唆の黒幕であるマリアへの接触の仕方がいくらなんでも杜撰すぎ。
ヤフー知恵袋の回答のリンクから飛べるとか、マリア・マクダレーナで検索したらトップに表示されるとか……おいおい……そんなの警察にすぐ見付かるぞ……
でも何故か警察も明智(ネットしてないからか?)も全力スルー、無能すぎないか……
明智と苺のとぼけた掛け合いや美食の蘊蓄はコメディタッチで楽しく読めるのだが、犯人側のお粗末さが水をさす。
影のフィクサーのマリアにカリスマ性を感じられるか否かでふるいにかけられる読者は多い。私は微妙。
精神的にギリギリまで追い詰められてたのだとしても、あんな短い尺の短い対話(しかも画面越しのやりとりで)あっさり陥落してしまう加害者も解せないし、推理ものとしてはご都合主義がひっかかる。
ハイテンションなギャグで押し切るコメディなら都合よすぎる展開の連続も気にならなかったのだが……。
ただ「キッチンハラスメント」など、見過ごされがちな善意の押し付けを描いてるのには好感が持てる。
モラハラ・パワハラ・ストーカーetc、名付けられることで初めて問題として認識されることってたくさんあるからな……
あとがきは相変わらず身も蓋もなく面白いが、三巻あたりで「パスタ?あれは料理じゃありませんから(笑)」とディスってるのはイラッときた。
「こういう人嫌われます」と一応セルフツッコミしてたけど……まあ料理上手な人から見ればそうかもしれないね!
それらを含めてアキコのキャラだなーと笑って許せる人向け。

















