綺麗な色の鳥を楽しみで狩る領主とそれを止めさせたい島民による訴えによって、鳥を使った国の通信手段の考試を決めたゼン。
鳥を笛で操る少女に頼まれて補佐役に付いた白雪は、同行した領主から妨害されて負傷してしまいます。
たとえゼンの本心がどうであれ、その立場によって位のある者の言い分を退けられないと嘲笑う領主に対して発せられた白雪の言葉に心打たれます。
白雪の強い言葉にはゼン本人のみならず、周りの人間も惹き込まれずにはいられません。
この巻で決定的に変化していく二人の関係が見物です!
土に埋めていた種が芽吹いて、これから緩やかに花咲いていくんだな、と感じさせてくれます。
過去に起こった出来事から他人の気持ちを信じきれなくなったゼンが、疑うことなく白雪の気持ちを信じられたのは、二人が積み重ねてきた時間が大きいと思います。
側近ミツヒデ視点で描かれた過去は、ゼンの未熟さや柔らかで脆い心が表現されていて、胸が締めつけられます。
側近に誇られるような主人になる、と目標を掲げるゼンからは成長が覗えます。
ゼンは王子という特殊な身の上から、純粋に向き合ってくれる人との繋がりというものに飢えているように見えます。
確固とした自分というものを持つ白雪と出会ったことで、心が満たされ、惹かれてしまうのは自然だと感じました。
これから先の二人の関係の進展に、どのようなものが待ち受けているのか目が離せません。