『女王の花』で中華ファンタジーの印象が強かった和泉先生の西洋ファンタジーとあって、買わないわけにはいかない! と思いました。
B国10人目の王女・アルナは、強国であるE国に王妃として求められます。
持参金も侍女も不要という人質同然の嫁入り。
普通の姫なら己の境遇に泣き出してしまいそうですが、
そうならないのが和泉先生の描く、強いヒロインだなと思いました。
特徴である銀髪と青い目の侍女・カミラを影武者に仕立て上げ、王女を護る女騎士としてアルナはE国で過ごすことになります。
正式に求められたはずが、王宮には既に5人も王妃がいるという謎の状況。
たおやかさは欠片もなく、食うか食われるかの闘技場と化しているのは、面白いです。
王の側近である少年・アーサーは、偉そうで下司。
対して、アーサーから見たアルナは、ただの従者で生意気。
この互いに最悪な印象がどう変わっていくか…
物語が進む中で、きっと見所になる関係性なので、楽しみです!
アルナは他の王妃から、第5王妃に届いた手紙を渡すように頼まれて、立場上断れず受け取ってしまいます。
それが思わぬ事態を引き起こしてしまうとは思いもせず……
女性にとって王宮での甲冑はドレスであり、本心を悟らせない笑顔が盾だと思わされます。
心が痛む展開は、まさに地獄。
それでも目が離せないのが、この話の魅力です。
王妃の座を争うゲームで、アルナは勝ち残ることができるのか?
続きが楽しみです。