ありがとう
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h.t
透明な螺旋は、ガリレオシリーズを読んできた身としては、事件そのものよりも「湯川という人間の芯」を真正面から見せられた感じがしました。南房総の海の静けさと、そこに沈んでいる過去の重さのギャップがずっと胸に残ります。
科学トリックで唸らせるというより、母親たちの愛情とエゴ、信じたいものだけを掴もうとする人間の弱さが、じわじわと物語を動かしていくのが印象的でした。真実を暴くことが本当に正義なのか、読んでいて何度も立ち止まりたくなりました。
クールで超然とした天才として見てきた湯川が、家族の前では不器用なひとりの息子であり、自分の過去と向き合わざるをえない姿は、少し痛々しくもあり、どこか救いでもありました。
