舞台は昭和の日本。元スパイの結城中佐によって陸軍内に設立されたスパイ養成学校「D機関」が物語の主役です。
収録された五話の短編それぞれにおいて、D機関のスパイたちが主役あるいは脇役となって、陰謀渦巻く事件を解決に導いていきます。
異常と呼べるほどに優秀なD機関のメンバーが、なぜ危険かつ困難を極めるスパイ活動に身を投じるのか?
それは彼らが、「自分ならこのくらいできて当然だ」という、とんでもなく強い自負心を抱いているから。
プライドの高いスパイたちが、優秀な頭脳を用いて任務をこなしていく様子がクールでかっこいい作品なのです。
フィクションにおけるスパイというと、冒険とロマンに溢れる華やかなイメージを持つ方も多いと思いますが、
D機関のスパイはあくまでも見えないことを絶対条件として活動します。
そのため物語の中でも、銃撃戦などといった派手な展開が見られるわけではありません。
ですが伏線や矛盾などから真相に辿り着いていく推理要素なども多く、短編で読みやすいのに読み応えがある、という作品となっています。
2015年には実写映画化、2016年にはアニメ化もされた人気作で、評判は折り紙付き。
スリルを感じたい方、かっこいい頭脳戦を読みたい方などにおすすめですよ。