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2巻はまさに「騙しの美学」が花開く一冊でした。前巻で結成されたスパイチーム《灯》が本格的に動き出し、今回はグレーテを中心に、リリィ、ジビア、サラの4人が選抜されて任務に挑みます。舞台は政治家ウーヴェの屋敷。メイドとして潜入しながら、暗殺者〈屍〉の影を追うという緊張感あふれる展開です。グレーテの魅力が爆発する回 序盤では「地味?」と思わせる彼女の立ち位置が、終盤で一気に反転。伏線の回収が見事で、クラウスへの敬愛の理由や、彼女の変装術・頭脳戦が光ります。悲しい過去を背負いながらも、恋心と使命感の狭間で揺れるグレーテの姿に、胸が締め付けられました。この巻では、読者も含めて何度も騙される展開が続きます。「え、そう来た!?」と思ったら「やっぱり違う…でもそれも正しい…」という二重三重のトリック。キャラクターの個性もより鮮明になり、1巻では覚えきれなかった少女たちが、少しずつ心に残る存在へと変わっていきます。最強キャラ・クラウスが控えめな活躍に留まり、少女たち自身の成長と奮闘が描かれることで、物語に深みが増しています。クラウスファンも満足できるラストの“美味しいところ持っていき”感も健在ですが、主役はあくまで少女たち。特にグレーテの計画と覚悟には、拍手を送りたくなります。次巻が気になって仕方ない…そんな読後感を残す2巻でした。