『虹―White Goat』は、想像以上に心を動かされる作品でした。上田達さんと上田敦子さんのコンビによる世界観は、繊細で奥行きがあり、ページをめくるごとに物語に引き込まれていきます。特に「虹」というモチーフが象徴的に使われ、登場人物の心情や希望を映し出す表現に胸を打たれました。読み進めながら、過去と未来が交差するような不思議な感覚を味わえ、読後には温かさと余韻が長く残ります。文章は丁寧でリズムもよく、難しい言葉を使わずとも深いテーマを描き出している点が魅力的でした。また、物語の中にちりばめられた小さなエピソードが日常の大切さを思い起こさせてくれ、読んで良かったと素直に感じられます。想像以上に心に残る一冊であり、「買ってよかった」と強く思える作品でした。
物語を通して描かれる「虹」と「ヤギ」の姿は、ただの自然や動物ではなく、人の心の奥にある希望や不安を象徴しているように感じた。白いヤギが歩む姿は孤独にも見えるが、同時に純粋さや強さを秘めており、読み進めるうちに自分の心の中の弱さと重なった。虹は一瞬の輝きで消えてしまうが、その短い時間があるからこそ、日常がどれほど尊いのか気づかされる。ページを閉じたあと、自然と人の心は深くつながっており、目に見える景色の奥に大切な意味を見いだすことの大切さを学んだ。
前作の驚きが今回もどんな形で表れているんだろうとまず本を手に取ってムムム。ま、同じ手を使う作家さんはいないだろうけど。前作が大ヒットした新人作家の藤阪燈真と霧子が挑む亡き作家の続編作品。亡き作家はコンビで作品を書き、プロット担当だった。作品は途中で終わり尻切れトンボ状態。本作は作中作の形で展開していく。この作品がなかなか面白くてね。終わって見れば良く出来てるんですよ。透きとおるの意味が伝わってくるような。それにしても霧子さんの敏腕編集者ぶりは流石。埒外ながら<ミステリ>と<ミステリー>の使い方にふむふむ。