かつてペンションだった「ムーンライト・イン」でハウスシェアをする男女を描いた物語。
オーナーの虹サン、車椅子のかおるさん、介助と家事を担う塔子さん、フィリピンから来たマリー・ジョイ、そして自転車旅行中に立ち寄った拓海。共に暮らす中で、彼らが胸に秘めていた事情が少しずつ明らかになっていく過程に引き込まれました。
特に印象的だったのは、マリー・ジョイの存在感です!介護の現場で多くの家族を見てきた彼女だからこそ、かおるさんの嫁の本質を鋭く見抜く力には説得力がありました。自分の過酷な生い立ちを背景に、虹サンのロマンチストな一面を「ズレている」とバッサリ切り捨てる潔さも、なんとも魅力的です。
虹サンが語る「物語」も、息子さんの視点に立てば確かに複雑な心境になるはず。そのあたりの機微を捉えたかおるさんの説明が、一番しっくりときました。
若手の拓海には、思わず「しっかりやれよ!」と背中を叩いて応援したくなってしまいます。
血のつながりを超えた、新しい「家族」のような、あるいは「止まり木」のような関係性。読み終えた後、自分の居場所についても考えたくなる、心温まる一冊でした。











