「春が二階から落ちてきた。」という印象的な書き出しで始まる。伊坂幸太郎を世に知らしめた最初の代表作!
春というのは、季節のことかと思ったが違った。兄弟の名で弟の名前だった。兄貴は泉水といい、2人揃って英語にするとspringになる。なかなか洒落が効いている。
でも、この兄弟は異父兄弟になる。理由は弟がレイプによって生まれた子だからだ。このことがストーリーの核となっていく。
遺伝子に優位性があるのか?家族の絆は遺伝子を超えられるのか?激しく揺さぶってくる。2人の兄弟の目的は実は一緒だった。エンディングに至るまでの過程は、実に感動的で文学的だと思えた。
遺伝子、グラフィティアート、放火、ピカソ、などなどいろいろな要素がストーリーを膨らませていく。登場人物の行動性には、独特の世界があり、小説をおもしろくさせてくれる。
伊坂幸太郎の小説には、いつもハッとさせられるセリフが散りばめられている。ひとつだけ挙げると、空中ブランコを楽しそうに飛び移るピエロを見て言った父親のセリフ「楽しそうに生きてればな、地球の重力なんてなくなる」