ありがとう
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武蔵が頭を下げる。誰かに助けを求める。
それは今までの武蔵からすれば考えられないことだった。村のみんなを守るため、自分がお抱えになることをいとわず、食糧を求める。そして、田んぼを耕し、秀作の死とともに、武蔵は小倉にいく。
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剣に生き、鬼と化すーー。土に生き、土に死すーー。一世限りの孤独な鍛錬を、現世の剣に活かす武蔵と、後世の土へと託す秀作。理解し合えぬ二人の生き様は、か弱き稲の命を介し、やがて交叉し、予期せぬ実を心につけてゆく。
武蔵が頭を下げる。誰かに助けを求める。
それは今までの武蔵からすれば考えられないことだった。村のみんなを守るため、自分がお抱えになることをいとわず、食糧を求める。そして、田んぼを耕し、秀作の死とともに、武蔵は小倉にいく。