父親の冤罪を晴らそうと過去の世界で奮闘するタイムリープサスペンス。
「僕だけがいない街」との相似点が多く、あの作品が好きならハマるかも。
「したっけ」「なまら」など、北海道弁もその印象を補強する。
主人公の父親・佐野が正義感に厚く、非常に好感の持てる人物として描かれている。家族思いで誠実、突如現れた心の未来から来たという告白も比較的あっさり受け入れ協力してくれる。
過去パートの佐野一家が愛すべき人物として描かれるほど、犯罪加害者家族として迫害される現実の彼らとの落差が辛くなる。
「僕だけがいない街」も冤罪を取り扱ってるが、犯罪加害者家族の存在はスルーだったので、主人公がその立場におかれ理不尽な辛酸をなめる本作の方がより重い(しかも事件当時は胎児で関与すらしてない……)
難点を挙げるなら娘を手放さないために過去へ行ったはずなのに、途中でその大前提が崩れること。
過去をいじれば未来が変わるのがタイムパラドックスの醍醐味だが、父を信じて事件の阻止に尽力した結果、一番大事なものが消えてしまうのはやるせない。
表題のテセウスの船は、部品を全部取り替えた船は元の船と同じなのかという哲学的命題で、タイムパラドックスの矛盾を暗示している。
佐野家の団欒を除くとシリアスなシーンが続き、ちょっと肩がこる。心と生徒の交流や心と由紀(+未来)の話など、もっと見たかった。
真犯人はサイコパスだし、動機もまあ頷けるものなのだが、背景が掘り下げ不足。行動の異常さからすると身内に虐待を受けていたのかもしれないが特に言及されず物足りない。
小学生が小屋に監禁され性的イタズラをされるなど、「僕だけがいない街」とデジャビュする細部が多くどうしても比べてしまうのだが、こちらの絵柄の方がリアルなため社会派なタッチになってる。
父が大犯罪者として捕まってしまった主人公。家族は虐げられ、そんな時代を過ごしてきた。それでも結婚に向け、幸せを掴むことができるが、、、
そして、主人公はある場所でタイムスリップをする。
それは自分の生まれる前の出来事であり、事件を起こす前の父の姿も。













