ブレヒトの特徴的な演劇スタイルである「遠近法」を使い、観客が感情移入しすぎることなく、社会的な問題を冷静に捉えさせるような構成となっています。政治的な権力と商業がどのように絡み合って人々に影響を与えるかを描いた作品で、経済的な観点から歴史や権力構造を考え直すきっかけを与えてくれます。ユーモアや風刺を交えながら、重厚なテーマを扱っているため、読み進めるごとに考えさせられる部分が多く、社会や権力に対する洞察が得られる一冊だと思います。
劇作家、演出家、詩人である「異化」の作家ブレヒト流のジュリアス・シーザー(小説です)。
古代ローマを舞台に、偉人・貴族・財界・市民・奴隷たちが、商売と政治、勝利と敗北、英雄譚と経済指標に踊る三文稗史劇(ヒストリー)。
物語は、ある歴史学者が英雄ユリウス・カエサルの伝記を執筆する準備で、カエサルを担当していた元銀行家を訪ねるところから始まる。元銀行家が所有する、カエサルの秘書であった奴隷の手記を調べることが目的であった。やがて歴史学者は、元銀行家たちとの対話や奴隷の手記を通じて、商売という視点をまったく忘却した、経済史観をふまえぬ自分の立場の誤りを次第に思い知らされていく。
1938、39年デンマーク亡命中に執筆され、ユリウス・カエサルを主人公に、ガリア戦記まで構想されたが、ガリア戦記は書かれないまま、未完となっている長編小説。『ローマ人の物語』(塩野七生著)でも言及され、ストローブ=ユイレにより映画化。1973年河出書房新社新社発行版を底本に復刊、書き下ろしの解説を追録。
第1部 名門出の一青年の栄達
第2部 われらのC氏
第3部 以って範とするに足る属州の行政
第4部 三頭の怪物
訳者解説
解説 『ユリウス・カエサル氏の商売』のアクチュアリティ
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